大井川鐵道新金谷駅。ここから分岐して大井川方面に伸びる一本の線路があります。
通称"構外側線" "新堀川側線"などと呼ばれるこの線路は終点に小ヤードと土場があり、普段は保線資材やダム関係資材の搬入出、また大鐵に入線する車両の搬入に使われたりもします。
そしてこの線路(以下新堀川側線と呼称)は、廃車の留置・解体にも使われるという側面があり・・・。2007年9月に引退したC11312含め、数両の蒸機が眠り続けています。
今回は現在の新堀川側線をレポートします。

新堀川側線終点にある小ヤード。保線基地になっているのでレールが山と積まれています。ここから振り向くと・・・

この光景。



いきなり手前にこんなすごいのがあります。C12208・・・の成れの果て、部品取りとして入線して使えるパーツを全て剥ぎ取られた結果、このような姿になってしまったもの。ボイラーも実はこの機の物ではなく、C5644の旧ボイラーをただ乗っけてあるだけ。逆に元のボイラーは現在C5644で使用されています。

下回りを覗き込むとシリンダーの中も空っぽ。

九州のC11・C12で見られた炭庫に開けられた通風ダクト。現役のC11190にも見られる装備ですが、C12208はよく見ると向かって右側のダクトがありません。集風用のファンネルは残っているため、後年埋められたのでしょうか?

C12208の直後にあるのが台車に載った旧日本陸軍鉄道連隊E18。元は東京のプレス・アイゼンバーンに保存されていた蒸機で、外装レストアのため当地に送られたようです。が、現状は申し訳程度のシートが被せられただけで実質放置状態。



E18の載っている台車も鉄道連隊の97式軽貨車、こちらは元々大井川にあった物。その上のボギー式のフレームはE18用に新しく当地で作ったようですね。97式にペンキが垂れてます。


落書きが痛々しい。高い所にあるので、特徴的なインサイドフレームの足回りを観察しやすいです。

旧客・電車用の台車もゴロゴロ、その1。TR34×1、TR47×2。TR34は元「ビアステーション焼津」のオハ47 2168の持ち物で、台車を引き抜かずに解体したため車体フレームの芯皿部がこびり付いてます。

その2、電車用のTR11系×4、詳細不明。

TR23×2。「ビアステーション焼津」オハ47 2014の解体発生品。

・・・C11312。いや、正確には"かつてC11312だったモノ"。引退後は静態保存するとされている当機は現状、半解体状態で無残な姿を晒しています。


錆が浮き、部品を剥ぎ取られた足回りからは完全に生気が消えています。ただの屍のようだ。


サイドタンクも無い、キャブも無い。これが本当に2年ほど前まで現役だったC11312?

よく見てみると、前照灯の台座が主灯用・副灯用の2つ。
実はC11312はヘッドライトがLP42の1灯のみで、この形態には当てはまりません。大鐵でこれに該当するのは主灯にLP42・副灯にLP405を装備していたC11227で、C12208・C5644同様こちらもボイラーが交換されています。半解体状態なのはこのため。
ボイラー交換後のC11227はLP405が装備されていませんが、個人的には2灯装備の方が北海道出身のカマらしくて好きでした。
(復活当初LP403一灯だけだったC11190が、なぜか後になってC11227からLP405を移植されて2灯になってます)

炊口も、逆転機も、主を失った計器盤も、全てが草生し錆色に染まる。部品取りとしてこのまま朽ち果てなければいいのですが。


前に連結されているチキ300形チキ303。端梁のバッファー穴に魚腹台枠、アーチバー台車と古典的な形態を持った長物車です。検査表記が平成11年10月までとなってますが、実際には1980年に廃車されて機械扱いになっています。逆に廃車後も検査は受けていたんですね。

枯れ草にカモフラージュする97式軽貨車、線路とは無関係な位置に放っぽってあります。これも貴重品なので、きちんと整備して展示すれば立派な保存車両になるんですが・・・。

構外側線末端に突っ込んであるホキ2両。比較的近年の入線で検査期限も残っていますが、しばらく動いた形跡がありません。廃車郡をどかさなければ引き出す事もできないので、使うアテが無いのでしょう。このまま廃車?

新金谷構内に移動します。陸橋下にシートでぐるぐる巻きにされているのはトラストトレイン用のC12164。ATS取付の費用が捻出できないために2005年4月の運転を最後に休車状態で長い事置かれています。
この機も実は一筋縄ではない経歴を持ったカマで、多くのサイトでは「昭和48年用途廃止、本川根町に無償貸与・千頭駅に静態保存されたのち昭和62年にトラストトレインで復活」とされています。が、実は本川根町所有時代も動態保存で、川根両国までの構外側線(リバーサイド線)での営業列車牽引、C11227復活後は大井川本線でも運転、イベント時は構内で有火展示などに使われています。当然車籍は大井川鉄道にあったものと思われますが、他の機関車とは違って「普段はあくまで千頭駅構内で静態保存・必要に応じて有火運転」というところがミステリアス。本川根町所有という事で新金谷区ベースでの本格的な運転ができなかったのでしょう。

C11312のサイドタンクがこんな所に置いてあります。左やタンク上の物体は古いパンタグラフ。

車両区にいたE102。よく見るとライトが白熱灯ケースの中にシールドビームを入れた手の込んだ物になってます。
E102の左に見える更地は公園になるそうです。ここにC11312を展示するというのは叶わぬ夢でしょうか?立地的にもちょうどいいと思うんですけどね。